『往生要集』等活地獄−「活活(かつかつ)」

はじめに等活地獄といふは、 この閻浮提の下、 一千由旬にあり。 縦広一万由旬なり。
このなかの罪人、 たがひにつねに害心を懐いだけり。 もしたまたまあひ見みれば、 猟者の鹿に逢へるがごとくして、 おのおの鉄の爪をもつてたがひに掴み裂さく。 血肉すでに尽つきて、 ただ残骨のみあり。
あるいは獄卒、 手に鉄の杖・鉄の棒を執りて、 頭より足に至るまで、 あまねくみな打ち築(つ)くに、 身体破砕すること、 なほ沙揣のごとし。 あるいはきはめて利き刀をもつて分々に肉を割さくこと、 廚者の魚肉を屠ふるがごとし。
涼風来たりて吹くに、 尋(つ)いで活(よ)みがえること故(もと)のごとし。 欻然(こつねん)としてまた起きて、 前(さき)のごとく苦を受く。あるいはいはく、 空中に声ありていはく、 「このもろもろの有情、 また等しく活(よ)みがえるべし、 また等しく活みがえるべし」 と。 あるいはいはく、 獄卒、 鉄の叉(ひし)をもつて地を打ちて、 唱なへて 「活活(かつかつ)」 といふ。 かくのごとき等(ら)の苦(く)、 つぶさに述(じゅつ)すべからず。
参考 往生要集 巻上 http://www.yamadera.info/seiten/d/yoshu1F.htm

それでもそこにいることを選んでいるのは自分自身なのだろうか