お経あげることしか出来なくて

数日前、犬が車にひかれて死んでしまったという連絡をいただいて、かけつけた。まだあたたかかった。


ラッキーは人間でいうと80・90歳、(お年寄りのように)白内障になっていたから、目があまり見えなかった。家の前の藪へ用をたしにいこうとしたときにひかれたようだと、奥さんが泣きながら話した。


20年近く時を過ごしたペットとの交通事故での別れは悲痛だと思う。『阿弥陀経』をあげて、焼香していただいて、『白骨』の御文を読んだ。


「こんな時間に急にごめんね」というから、「こんな時こそと思って走ってきたけれど、何にも出来なくて、お経あげることしか出来なくて、すみません。」 といった。


私はなんのためにもならないお経をあげたに違いない。
でも、なぜかお互いに少し安心した。


「少し前にもありました、その時は猫でしたが。 私もそうして(ペットが死んだ時はお経をあげて)います。」 と話して別れた。