鼻つまみ者じいさん

村の鼻つまみ者じいさんの添いあいが亡くなった。そのおばあさんは長い間富山の娘さんが連れて行って面倒を見ていたので、じいさんは長い間一人暮らし。亡くなったおばあさんはじいさんとちがってとっても優しくて気が利いて新しいものをとりいれることができる人だった。わが村でトマトやサラダ菜を初めて作った方だったそうだ。
じいさんはお通夜の晩も、僧侶たちが正信偈のお勤めで声を張り上げている時も、導師がいっしょうけんめい通夜説法している時も、葬儀会場最前席の喪主横で、鼻眼鏡でふんぞり返っていた。あの場所であそこまでふんぞり返って座っている人を私は初めて見た。
じいさんはひとりで泣くだろうか