「この慈しみのこころづかいをしっかりとたもて」

いかなる生物生類(いきものしょうるい)であっても、怯(おび)えているものでも強剛(きょうごう)なものでも、悉(ことごと)く、長いものでも、大きなものでも、中くらいなものでも、短いものでも、微細なものでも、粗大(そだい)なものでも、目に見えるものでも、見えないものでも、遠くに住むものでも、近くに住むものでも、すぐに生まれたものでも、これから生まれようと欲するものでも、一切の生きとし生けるものは、幸せであれ。
何びとも他人を欺(あざむ)いてはならない。たといどこにあっても他人を軽んじてはならない。悩まそうとして怒りの想いをいだいて、互いに他人に苦痛を与えることを望んではならない。
ブッダのことば」(スッタニパータ)より 中村元