平成の孤独感

『平成万葉集』が編纂された。編集に携わった人の言葉をメモした。

「孤独」だと宣言された失われた人間性

激動の昭和を経て、平和な平成の世が20年続いている。平和だから感慨深いうたなどあるわけがない、という人もあったのだという。
蓋を開ければ、平和で穏やかなはずの現代人の圧倒的な孤独感。故郷をたずねられこたえるのは、戸籍も自分のはいる墓もないのだという。

気づき、嘆き、そこから始まるもの、いやむしろそこからしか始まらないものがあるような気がしてならない。
だとすれば穏やかで孤独な平成の世、本当に大切なものを探しはじめている。

二河白道」という有名なたとえ話がある。行者が道を行こうとするときに、左右、片方は水の河、片方は火の河。後ろから軍賊悪獣が攻めてくる。とどまることも、戻ることも、進むことも、皆死を表す、三定死。そこに弥陀の召喚を聴く。「汝、一心に正念にしてただちに来たれ、我よく、汝を護らん」…
実は行者は道を行こうとしたときに、道がないことに気づいた。