ばあちゃんに叱られた

母の旅行中、寝たきりのおばあちゃんをショートステイで預かってもらっている。当初は10日程度の予定だったが、嫁いだ妹が介護のために帰って来てくれることになり、明日おばあちゃんと妹たちが帰宅する。


とはいえ私たちは毎日お見舞いに通う。叔母たちも何度も足を運んでくれている。私の娘が積極的におばあちゃんのお見舞いに行きたがることもとてもうれしい。


施設で娘が、抜けた歯の下から生えてきた歯をいじるので「口に手をいれたらだめよ」と声をかける。また触ったから「口に手を入れたらだめ、今度したら叩くよ!」という。じきに触って娘はベチンと叩かれる。またすぐ触って叩かれ、今度はよろめいて降りていたブラインドから光が差した。


「たたくまい!こんなちいさい子を、かわいそうに!」とおばあちゃんが大きな声で私を叱る。
「かわしょに、かわしょに(かわいそうに)…」


そうやって必ずかばってくれた日を想いだして目頭があつくなった。
日も時間も自分の娘の顔も孫のことも、何をたべているのかもわからないことがめずらしくないのに、小さな子どもを愛おしむ気持ちは無くならない。一緒に過ごしたたくさんの優しい時間を想って、おごっている自分に泣いた。