改名の噂

役場関係に知人が数人いるということは、町の中のちょっとした動きを知ることになってあまりうれしくない。誰と誰が親戚だとかちっとも覚えられない。噂話がいつまでたっても好きになれない。
その日彼女は、「○○さん、改名したんだって、女の名前によ!近所の人がいうにはたまに尋ねると女装していることもあるんだって!気持ち悪いでしょう!」といった。私は迷わず、「○○さん、本当に良かったね、長い間悩んでいたに違いないもの、私は女として生きたいという名のりを挙げたのね、今度あった時、さりげなくおめでとうをいいたい」といった。彼女がどんな顔をしていたのか見ていない。○○さんは何度かお会いした事があるけれど、男性に色目を使っている姿も、女性にデレデレして話している姿も見たことがない。
「普通」みたいなことを決めて、そうでないことを「気持ちが悪い」という人の方が、私には気持ちが悪い。