カエル、無事五十回忌勤める

今日は村に五十回忌があった。五十回忌を勤めるというのは一大イベントなのである。現代は人間80年、戦火をくぐりぬけた80代が元気な今日だから勤められるような話で、父を30代に亡くした私としては、父の五十回忌を勤める元気があるとは思えない。
一周忌と五十回忌を勤めたのだが、一年前にそのおじいさんが亡くなった日、枕経に行った日のことを想う。おじいさんと二人暮らしだったおばあさんは、その日おじいさんが午前中畑をして、ちょっと具合が悪いからと昼から医者に行って、吐血してその日に亡くなったことを淡々と話した。涙が流れない。あまりにも急で泣くこともできないことが私にはわかった。
それから一年はあっという間だったと思う。その間に五十回忌の準備がどんなに大変だったかと思うと、あらためて、こみ上げるものがある。
先日気付いたことなのだが、私の地域は湿度が高い。乾燥している地域に行くと、声が出にくくなる。湿度が低いと元気が出ない、まるでカエル(「ケロロ軍曹」)みたいだ。今日カエルは、無事五十回忌勤めた。おばあさんがうれしそうに「これで楽になった」と何度も言った。「本当に大変やったね」と私は言った。お斎の席で、親戚の若い人に、「あなたの叔母さんは民謡をやっているんだよね、あなたも叔母さんに似て、素晴らしいお経でした。」といわれた。少し考えて、素直に褒められたことを喜ぶことにした。ゲロゲロゲロゲロ…