じいちゃんフェニックス、バイク泥棒?

出かけようと思ったら、玄関の戸が全開だった。母が外出した際開けっ放したのだろう、と思った。坂の下にバイクが倒れていた。「あんたのだぞ。」と言われたので、「違うよ!」といった。ロックをしていたから、動くはずがなかった。右のミラーが壊れ飛び散っていた。近寄ってみると私の100ccバイクだった。なんなんだ、と考える間もなく、じいちゃんのズックがそこにあった。
走って部屋に行って寝ているじいちゃんに声をかけた。「じいちゃん、どこか痛くないか?」手や足や肩、腰のあたりも見たが厚着をしていて、ケガはないようだった。「じいちゃんバイクでどこか行こうと思ったの?どこか痛くないか?」こくんとうなずいて、手を合わせ「かんにん」といった。いつもの優しい顔。「ケガしなかった?大丈夫?」「かんにん、心配させてかんにん。」そして「ちょっと休ませてもらうわ。」といった。ピザ屋のバイクで飲酒運転して大型トラックに三差路で衝突され無傷だった、あの時みたい。
じいちゃんがケガをしていないのでよかった。ロックをしていてもバイクは動く、ハンドルロックがかかった状態で少し進んだが、力の限界で手を離したのだろうと教えてもらった。しかし、そんな力があったんだねぇ。玄関の戸全開のときはじいちゃんの仕業を疑った方がいい。母が出かけてから1時間ばかりの出来事であった。恐るべしじいちゃんフェニックス91歳。
高一のとき、無免許でじいちゃんのバイクを乗りまわし事故って壊した。あの時じいちゃんにすごく叱られたな、ということで壊れたミラーは大目に見ましょう。ちなみにじいちゃんは自分のバイクだと思っているだろう。どこへ行こうと思ったのかな。